今回は「もしかして、自分は発達障害なのかも?」という感じで日々モヤモヤしている方に向けて、「僕が発達外来(発達障害の診断)に行ってみた体験談」をお話したいと思います。
(大人の)発達障害の診断を受けてみようか悩んでいる方の、モヤモヤした気持ちや不安が少しでも軽くなれば嬉しいです。
.png)
結論:迷ったらすぐ電話!初診に至るまではいくつかハードルがありますが、やり始めてしまえば何とかなります!(なりました!)
きっかけは「ずっと違和感を抱えてきた自分」
僕が発達外来を受診しようと思ったきっかけは、いくつかありました。
- 職場にうまく馴染めず「適応障害」と診断され、退職したこと
- 3人の子どものうち、上の2人が発達障害と診断されていること
- 子供の頃から「自分は何だか周りと違う」と感じていたこと
- 誰かと一緒に始めたことでも、なぜか自分だけ上手くできないことがよくある
これまでの色んな経験が重なり「もしかして(子供だけじゃなく)自分にも発達特性があるのかも?」と思うように。
食えないフリーランス生活を永遠に続ける事は(恐らく)出来ないだろうし、いずれは社会復帰も考えないといけない。でも、また同じような目(適応障害)にはあいたくない。
そう思った僕は、「まずは自分が発達障害なのかどうか、ハッキリさせたい。結果はどうあれ、自分の発達特性を見極めて今後に生かしたい」と考え、発達障害の診断を受けてみようと決意しました。
.png)
ここから一生、中途半端な気持ちを抱えたままで生きるのか?そう思うと、動かずにはいられませんでした。
思い立ったは良いけど、どこで診断してくれるのかが分からない!
発達外来に行こうと思い立った時、最初に困ったのは「どこで診てもらえるのか分からない」ということでした。
最初に相談したのは、かかりつけの心療内科。でも、そこでは発達障害は専門外ということで、
「気になるなら、紹介状は書けますよ」
と言われただけでした。(思い返してみると、何だか少し面倒くさそうな顔をしていた気もします…)
その一言で「え?じゃぁ、どこに行けばいいの?」と困惑し、ネットで調べてみてもなかなか該当する医療機関が見つからず、見つけたと思って電話してみると「ウチは診断済みの人は診れるけど、診断そのものは出来ないんですよ…」という返答ばかり!
結局、自力での情報収集には限界があり、かかりつけの心療内科を頼る事に。(最初から聞けば良かった…)
「〇〇さん(医療機関の名前)で発達障害の診断をしている、でも、かなり待たされると思うよ」と教えてもらい、紹介状を書いてもらいました。
すぐに電話で外来の予約をし、やっとの事でスタートラインに立ちました。
なお、この時に電話で言われた事が(全く知識の無かった僕には)少しショッキングだったので、参考までに書いておきます。
- あなたの望むような診断はほとんど出ない、と釘を刺された
- 診断希望者が多く、初診までに2ヶ月ほど待ってもらうと言われた
- 親を連れてきてもらう必要がある、大丈夫か?と聞かれた
- 今困っている事を話すように言われた
恐らく、電話口の担当者には「他意」は無かったと思いますが、やっとこさ辿り着いた入口でこんな事を言われると、思わず「じゃぁ、いいです…」と言いかけた事を覚えています。
特に、最初の「発達障害の診断は出ないと思ってね」みたいな言い方は、「とにかく診断が欲しい人」みたいに思われているようで、物凄く嫌でした。そんなつもりはないでしょうし、後々のクレームにならないように事前に説明しているだけだと思いますが…
「2ヶ月待ち」については、予想はしていたので「まぁ、そうか」という感じ。事前調査の段階で、診断できる医療機関がほとんど無い事は分かっていましたからね。
あと、電話口で「親の協力を得られるか」とか「困っている事を教えて」というのも困りましたね。即答できないし、「電話の段階で事前準備が必要だったの?」と面食らった事を覚えています。
.png)
まぁ、どこの会社も電話窓口の人は基本的に「塩(マニュアル)」対応ですから、あまり気にし過ぎても仕方がありません。僕もそうですが、発達障害の傾向がある人は「一般的な人よりも繊細」な傾向がありますから、自分のそういう特性を客観的に見て「いやいや、気にし過ぎ!大丈夫!」と声に出す事も大事です(笑)
診断の流れ①:まずはアンケート(質問紙)から
2ヶ月待って、ようやく初診の日が来ました。
医療機関で受付を済ませると、まず渡されたのがアンケート(質問紙)でした。
A4縦の両面×4枚くらいと結構なボリュームがあり、所要時間は10分ほど。
「そう思う」「違うと思う」など、自分の感じ方や行動パターンを直感で選ぶ形です。
この時点で「あ、これは結構しっかり診断されるやつだな…」と感じました。
インターネット上で出来る簡易的な「発達特性テスト」などとは比べ物にならないボリュームで、質問の内容も「?」と頭を抱えるようなものがあり、より細かく自分の内面を探らないと、答えられないような設問も多くありましたね。
.png)
本当の自分なんて、自分でも分かっていないんだよなぁ…何て事を考えながら、とにかく直感でガンガン答えていきました。「これ、一体どうなるんだろう…?」と少し不安になったりもしました。
診断の流れ②:相談員さんとの面談(約40分)
アンケートを書いた後は、相談員さん(心理士さんかも?)との面談に。事前に「40分ほどかかります」と言われ、実際にそれくらいで終わりました。
面談で聞かれたのは、主に以下のような内容でした。
- 生まれてから現在にいたるまでのこと(生育歴)
- 学歴や仕事の経歴(会社名や具体の業務内容まで)
- 現在や過去において困っている(いた)こと
相談員さんは最初からとても和やかなムードで接してくださり、とても丁寧に聞いてくれるので安心して話す事が出来ました。
面談が思ったより長時間だったので、話をした内容はあまり思い出せませんが…やはり「困りごと」である学校や職場(仕事)の話が大半を占めていたような気がします。
学生時代は「イジメられないように常に気を張っていた」とか「友達と普通に話をしていたはずなのに、突然怒られた」とか「何故か自分の発言で場が白けてしまう事があり、自分から積極的に話をするのが怖くなった」なんて事を話しました。
職場(仕事)では「忘れっぽい」とか「ミスは当たり前」とか「自分だけ残業になる事が多い」なんて話をした気がします。愚痴っぽくならないように気を付けましたが、相談員さんはずっと優しかったので、色々と吐き出せてスッキリしちゃいました。
.png)
カウンセリングとは違うと思いますが、単純に話を聞いてもらえるだけで癒されるってのは…ありますよねぇ。
診断の流れ③:医師の診察(+血液検査)
相談員さんとの面談が終わり、1時間ほど待ってから医師の診察へ。
※発達障害の診断ができる医師は少ないようで、1時間くらいの待ち時間は当たり前にあるようです。何か本などを持参される事をオススメします!
内容はというと、先ほどの相談員さんと似たような感じで10分ほど質問を受けました。
相談員さんとは違い、医師ならではの視点での確認が多かったように思います。僕が「子供が発達障害で、自分の幼少期と酷似している」という話をした時に「それは辛かったでしょう」と言われた時、不覚にも涙が少し出てしまいました。
僕は「辛い」とは一言も言っていませんでしたが、心の内を見透かされたような不意の一言にガードが間に合いませんでした。今まで、取り繕ってはいたけど、そりゃぁ辛かったです。将来を考えて絶望しかけた事もありました。
ここで僕は「やっぱり、僕はここに来て良かったんだ」と思いました。
実際にここに来るまでは「あなたが発達障害?その程度の人はごまんといますよw」みたいにこき下ろされる事も覚悟していましたから…結果はどうなるか分かりませんが、少なくとも現時点では「僕を真剣に診てくれるんだ」という事が分かって安堵しました。
質問タイムが終わった後は「今後、どんな検査をしていくか」という事を中心にお話をされました。
初日という事で時間もないため、この日は血液検査(アレルギー反応も含む)を受けて終了しました。
.png)
「(人と違う、どうしようもない部分を)分かって欲しい」ただそれだけなんです。理解されずに否定された経験ばかりだから、理解のある人に話を聞いてもらうだけで涙腺が緩んでしまうんですよね…
診断の流れ④:今後のスケジュール決定
診察が終わった後は、医師から伝えられた「今後のスケジュール」についてスタッフさんと相談しながら予約を入れていきました。
- 心理検査を受ける日
→ 「WAIS」など、認知機能を詳しく見る検査。 - CT検査を受ける日
→ 身体的な要因(脳や神経の状態)も確認する目的。 - 親を連れて行く日
→ 子どもの頃の様子(幼少期の特性)を確認するため。
そしてもう一つ、「親に書いてもらうアンケート」も渡されました。質問事項が中々に細かく、
- 首がすわった時期
- 一人歩きを始めた頃
- 言葉を話し出した時期
など、母子手帳を見ないと分からないような質問を含め、A4の両面×2枚もあり、「これは親に書いてもらうのは中々に骨が折れるぞ…」と思いました。
よく見ると、本人にしか書けないような設問もあったので、まずは僕が書ける所を書いた上で「違うと思った所は直してね」と言って親に渡しました。まぁ、結果は手直しゼロだったので「本当に確認したのかなぁ」と思いましたが…そこは信じる事にしましょう。
.png)
アラフォーの僕の親はもう70歳近い高齢者なので、文字が小さくびっしり書かれたアンケートをマトモに答えるのは厳しいと思いました(苦笑)
診断初日が終わった時点での僕の感想
まず第一に、面談などの時間が予想以上に長く、終わった後はグッタリしてしまった事を覚えています。(拘束時間は大体3時間ほどでしたが、体感では4時間以上に感じました)
元々、見知らぬ人と長時間のコミュニケーションを取るのは苦手という性質もあり、恐らくずっと緊張していたのだと思います。
血液検査の際、血圧を測ったら何と「(上が)140オーバー」でした。僕の普段の血圧は「110」くらいなので、看護師さんから普段の血圧を確認され、深呼吸してからもう一度測ると「120」くらいに落ち着きました。(どんだけ緊張してたの!)
色々と終わって、家に着くと「あ、家事が全然終わってない…」という事に気付いて軽く絶望。奥さんには「今日、発達外来に行く」なんて事は言ってなかったし、説明も面倒なので…気持ちを奮い立たせて、猛烈に家事をしまくりました(苦笑)
診断の中身については、まだ序章なので何とも言えませんが…相談員さんも医師の方も丁寧で話を聞いてくれる感じだったので、そこは一安心でした。
ここから、僕の「自分を知っていくプロセス」が始まります。何とか、最後までやり切ろうと思います。
.png)
とにかく疲れます。でも、必要な事です。ここが「頑張り時」だと思います。
これから診断を受けたいと思っている方へ(事前の準備)
僕は発達障害の診断を受けると決めてから、予約の電話を入れるまで何の準備もしていなかったので、色々と面食らったり、親と急いで話をしたりと大変な思いをしました。
なので、これから発達障害の診断を受けたいと思っている方には以下の準備をしておく事をオススメします。
- 自分の困りごと(今&過去)を予めメモしておく
- 親に発達外来に行く事、協力が必要な事を話しておく
- あまり気負わず、「自分探しの旅」くらいの気持ちで構える
- 診断は1回では終わらないので、スケジュールを把握しておく
「困りごと」って、いきなり聞かれても上手く答えるのが難しかったりします。会話が得意でない人もいると思いますし、そういう方は紙に書いたものを持って行くのも良いと思います。
親の協力に関しては、診断に必要ではあるものの「出来れば」という感じだったので、親との関係が良くない方は正直にそれを伝えて「無理だ」と言っても良いと思います。(正確な診断が出来ないので、『できれば』連れてきて欲しい…という感じで言われます)
僕の場合、親への協力依頼はかなり緊張しましたが、「ダメ元」で正直に話をしたら割とアッサリOKしてくれました。適応障害で退職した事もあり「前に進むためのプロセス」である事をしっかりと伝えたのが良かったのかもしれません。
あと、ここまで書いて思ったのが「あまり大事(おおごと)に考えない方が良い」という事。
いざ始まってみると「げ、これって相当に面倒くさいぞ」と思うくらい、発達障害の診断って時間も手間もかかるんです。多分、事前にこうなる事が分かっていたら…僕は診断を受ける事を諦めていたかもしれません。
基本、新しい事を始めるのは難しく、ちょっとした事でも疲れてしまう…そんな僕が発達外来の受診までたどり着く事が出来たのは「(当初は)あんまり深く考えずに動いた」からでした。
そこからは、どんどん「やるべきこと」が出てくるので、それを一つずつガムシャラに潰して今に至ります。なので「なるようになるさ」くらいの気持ちで最初の電話をかけてしまっても良いのです。
ただ、診断が1回では終わらない&1回の診断が半日近くなる事も多いため、社会人の方が繁忙期に診断を受けるのは難しいかもしれません。
なので、スケジュールを予め確認してから行けば、今後の予約などの際にスムーズかなと思います。僕の地域では、どんなに頑張っても1週間に1回しか診断を受けられないので、全ての診断を終えるには1ヶ月ほどかかる予定になっています。
…さて、長くなったので今回はここまでとします。
今後の検査から最終的な診断に至るまでをシリーズ化する予定ですので、よければ見ていただけると幸いです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。あなたが「迷っていたけど、行ってみようかな」と思えるきっかけになれば嬉しいです。
.png)
次回は「心理検査を受けてみた」の予定です。
コメント