今回は、大人の発達障害診断に必要な「親への聞き取り」、「脳のCT検査」、「脳波検査」の3つについて実体験を書いてみます。
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これで発達障害の診断に必要な検査は全て完了しました。後は結果を待つのみ。
親への聞き取り(幼少期の様子)
人によっては、一番ハードルが高いであろう「親への聞き取り」ですが、僕自身も色々と苦労しました。
以下、「親への聞き取り前の準備」と「親への聞き取り当日」の2つに分けてお話しますね。
親への聞き取り前の準備
まず始めに、親への聞き取りを行うにあたって「親にこれを書いてもらってください」と渡されたアンケートがあったのですが、これが非常に難しいアンケートでした。
内容をざっくり書くと、
- 出生体重や発語の時期など、成長の記録に関する部分
- 「現在」と「幼少期」の2つの状況で回答する細かいアンケートの部分
の2つに分かれており、A4サイズの用紙で裏表2枚にびっしりという中々のボリュームでした。
なぜ、このアンケートを書くのが難しかったのか?と言うと…
- 親が幼少期の僕の「発達障害(傾向)」を(ほぼ)認知していなかったこと
- 母親は「やれば出来る」という人で、かつ実際に僕は「やってきた」こと
- 両親は共働きで、僕は「おばあちゃん子」であったこと
簡単にまとめると、両親は僕の幼少期に僕とそこまで密接に関わっていなかった(ほとんど、おばあちゃんに預けられていた)ため、僕に発達障害の傾向があるという認知がほとんどなく、何だかんだ大抵の事は出来ていたので、アンケートを見ても「うーん?」という感じになってしまったんですね。
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親(特に母親)は完璧超人タイプであり、些細な事は相談しても「やれば出来る」で終わってしまいますから、よほど深刻な事でない限り(努力で何とかなる範囲)は相談しませんでしたね…
それでも何とかアンケートを書いてもらうため、色々と話をしたのですが「貴方の性質は、障害というほど酷くはないんじゃない?」みたいな雰囲気になっていき、痺れを切らした僕が以下の提案をして、何とか前に進む事が出来ました。
- 「成長の記録」は僕では分からないので、母親に何とか書いてもらう
- 「アンケート」の方は僕が記憶を頼りに書いて、それを両親に確認してもらう
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「親に書いてもらってください」と言われたアンケートを、自分で書くのはマズイかな…とは思ったんですが、こうでもしないと話が前に進みませんでした。
色々と問題だらけではあったものの、何とかアンケートは完成し、母親のスケジュールを確認して医療機関に行く日を決めました。
親への聞き取り当日(アンケートの不正がバレる…)
さて、いよいよ親への聞き取り当日を迎えます。
当日は母と一緒にランチを食べて、医療機関で受付を済ませて待つこと数分。
心理士さんが来て、「貴方も同席されますか?」と聞かれたのですが、「同席しても良いのですか?」と聞くと、「もしかしたら、話しづらい事もあるかもしれないので、お母さんだけ来てもらいましょうか」と言われました。
これを了承し、母親だけで聞き取りがスタート。30分くらいで終わるのかな?と思いましたが、結果的に1時間を少し超えるくらいの時間がかかりました。
終わった後に母親から「あのアンケート、私は書いてないって正直に言ったよ」と言われて「えぇ…!?」と少し血の気が引きました。
ただ、どうして書けなかったのか(共働きであまり接する時間がなかった事や、おばあちゃん子だったことなど)をしっかり説明してくれたようで、心理士さんからは「追加の聞き取り(僕に対して)をさせてくださいね」と言われました。
アンケートに不正をしてしまった事を咎められるかな…と、ドキドキしながら追加の聞き取りのために心理さんと打ち合わせ室に入りました。
追加の聞き取り
(僕が勝手にアンケートを書いた事に対して)心理士さんは特に怒ったような様子もなく、優しく追加の聞き取りをしてくれました。
まずは、アンケートの目的(特性が幼少期から発現していたか、親の目線で回答してもらう事の重要性など)を丁寧に説明されました。
その上で、親が共働きで忙しく僕の幼少期について詳しく答えられず、既に他界してしまった祖母が(僕の幼少期を知る)キーパーソンである…といった点を明らかにしながら、僕が書いたアンケートについて色々と確認をされました。
心理士さんが親に聞き取りをした内容の中に、「子供の頃の僕は、学校の事を聞いても何も答えなかった」という回答があった事を聞きました。それが何故かを、記憶を辿るように心理士さんと確認していきました。
親への聞き取りでは分からなかった僕の幼少期のエピソードや、自分ではどうしようもなく困った事(トラウマになっている事)など、色々と聞かれました。その時に僕が話をした事を一例として書いてみます。
- 小学校1~2年生の頃は、毎日のように廊下に立たされていた。(姉から聞いた)
- 物心ついたのは小学5~6年生の時で、それ以前の記憶はほとんどない。
- 同級生からのいじめに対する恐怖心だけは強く覚えている。
- 親友と呼べる友達はいない。突然、仲間外れにされる事も多かった。
- 女子と話をしていた方が楽だった。(姉がいたので話しやすかった)
実は僕、小学校~中学校という時期は「戻れたとしても、絶対に戻りたくない」と断言できるくらい、ストレスが強い時期だった事だけは覚えているんです。どんなエピソードがあったのか?と言われると思い出すのが難しいんですが…それも「記憶にふたをしている」可能性すらあります。
どうして僕は両親に何も言わなかったのか?という点については、両親が忙しく、たまに喧嘩をして「どちらが出ていく」みたいな話になる事も度々あり、恐らく当時の僕は両親に相談して余計な心配をかけたくないと感じていたのだろう…と推測できます。
後は…前述した通り、母親は「やれば出来る」というタイプなので、些細な事は相談しても答えが分かり切っているので言わなかった…というのもありますね。
こういった理由から、両親は僕の困り事エピソードをほとんど知らないんです。
小学校~中学校時代に、トラウマ級の経験を沢山したからこそ、今の僕は自分を無理やり(半分オートで)周囲に合わせる「擬態」能力を身に付けたのだ…と自己解釈しています。
幼少期のエピソードを一つ一つ、思い出しながら話をしていると、心理士さんもどこか「あぁ…」という表情になっていき、少しだけ今後の事について話をされました。
「(診断してくれる)女医さんは厳しいけど、今みたいに、しっかり話をしてくれれば良いアドバイスをしてくれる」とか、「何らかの支援を使って再就職するか、しばらく様子見をするか」など、診断して終わりではなく、通院して今後の事を一緒に考えていきましょう、という感じでした。
話の中で「自分マニュアル」という言葉が出てきた事が、とても嬉しく感じた事を覚えています。
僕自身、発達障害の診断を受ける目的の一つとして「自分マニュアル」を作りたいという思いがあったからです。これについては、いずれ別の記事で詳細を書ければ…と思います。
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アンケートを自分で書いてしまった事がバレた時はハラハラしましたが…ちゃんと事情を説明すれば理解してもらえました。親との関係が良くない方もいると思いますし、こういう所は本音で話せば大抵の事は分かってもらえると思います!
脳のCT検査&脳波検査
「親への聞き取り」が終わった後は「脳のCT検査」と「脳波検査」を受けました。
あまり特筆すべき事も無かった(検査結果次第では追記します)ので、簡潔にまとめておきます。
脳のCT検査
例の機械に入ってブイーンで終わりです。(一瞬で終わったので、本当に書く事がないですw)
強いて言えば、発達障害の診断に脳のCTを撮る必要ってあるのか?という所ですね。
Googleで「発達障害 脳 CT」と検索した所、「発達障害の診断にCTは必要ありません」とAIが答えてくれました。
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えぇ…マジで…
ただし、「大人の」発達障害診断においては、脳のCT検査は「やっておいて損はない」とも言えます。というのも、僕が脳のCT検査を受けたのは「物心ついてからは初めて」の経験だったからです。
何か変な物(腫瘍とか)が見つかったら…と思うとちょっと怖いですが、見つからずに年を重ねるのはっと怖いですからね(苦笑)
脳波検査
こちらは結構、時間がかかりました。検査の準備で10分、検査で20分、全体で40分くらいはかかった気がしますね。
医療機関によっては「頭にスッポリ被るタイプ」を使う所もあるようですが、僕の場合は心電図を取る時に使うような電極を一つずつ頭に取り付ける方法でした。
心電図よりも沢山の電極を取り付ける必要があり、確か全部で20個くらい付けた気がします。付けた所を写真に撮ってもらえたら面白かったのですが…言い出せる雰囲気ではありませんでした(苦笑)
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ヒーローが敵の組織に掴まって、洗脳されるシーンを思い浮かべていました(笑)
検査の担当者から説明された中で面白かったのが、「貴方の考えている事は分かりませんので、ご安心ください」と言われた事でした。
流石に本気でそんな事を考えていた訳ではないのですが…「漫画の中に出てくる装置みたいだなぁ」と思っていた時に言われたので、心の中を読まれたようでドキッとしました(苦笑)
検査の内容としては、最初の10分は何もしない(目を閉じているだけ)状態で脳波を測定し、次の10分は目を閉じた状態で光の点滅を受けて脳波の状態を見る…という感じだったと思います。
割と厳しめに言われたのが「絶対に寝ないでくださいね」という事。「そんな、寝る訳ないじゃんw」と思ったんですが、これが結構ギリギリでした。何もせずに10分も目を閉じていると、仮眠に近い状態に落ちていってしまうんですね。
たまたま、検査室の外で話し声が聞こえてきて、そこに注意が向いて覚醒しました。担当者さんが「かなりヤバイ瞬間がありましたよ(笑)」と言っていたので、それがなかったらアウトだったかもしれません。(マジで寝てしまったら、測定をやり直す羽目になるらしく…)
以上で、発達障害の検査は全行程が終了となりました。
まとめ(検査にかかった費用について)
最後に、発達障害の検査にかかった費用についてざっくりとまとめておきます。
- 初診(血液検査あり)…約1万円
- 2回目(心理検査)…2千円ほど
- 3回目(親への聞き取り)…2千円ほど
- 4回目(心理検査の残り、脳のCT、脳波検査)…約1万円
大体、検査費用だけで2万5千円くらいかかった計算ですね。なんちゃってフリーランスには中々に痛い出費でしたが、このタイミングを逃せば出来なかったと思うので、後悔はないですね。
一連の記事の構成と、実際の日程が異なっている点についてはご容赦ください。
医療機関の都合で複数回に分けられたので、全ての検査を1~2日でやってくれる所もあると思います。(ただ、心理検査は負担が大きいので少しずつやらせてくれる方が良心的かと)
次回は、いよいよ診断結果が出ます。ここからは、定期的に通院する事になると思いますから、それもまた記事にしていけたら良いなと思っています。
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ぶっちゃけ、働いている時にこれを受けるのはしんどかっただろうな~…と思いますが、有給などを駆使すれば出来ない事もないですね。もっと早くやっておくべきだったとも思います。(でも、働いている時に親を説得するのは無理ゲーだったかな)
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